健康管理は、社会人として大切な仕事の一つです。体から出る不調のサインを無視し続けると、将来的に病気のリスクへつながる恐れがあります。しかし、「仕事が忙しくて体調に気を配るヒマがない」と悩んでいる人もいるでしょう。健康管理は心身の状態だけでなく、仕事のパフォーマンスにも大きく関係します。
当記事では、健康管理と仕事の質の関係性や、仕事の質を上げることに重点を置いた健康管理術を紹介します。健康な状態でよい仕事を続けたい人は、健康管理を生活に取り入れるためのポイントも押さえましょう。
目次
体調不良の状態で業務を行うと、集中力や判断力が落ち、生産性が低下します。生産性を向上させるためには、十分な睡眠や栄養をとるなど、適切な健康管理を行うことが大切です。
そもそも、デスクワークや肉体労働などの業務内容を問わず、健康な状態でなければ仕事はできません。残業などで毎日少しずつでも疲れが溜まると、仕事の能力を十分に発揮できない状態が生まれてしまいます。
また、健康管理は体調を整えるとともに、病気のリスクを減らせる点がメリットです。体調への不安がなくなれば、内面的にもポジティブになり、モチベーションの向上・ストレスの減少という効果も得られるでしょう。
仕事のパフォーマンスを上げるためには、常に体調を万全な状態に保つことが大切です。今すぐできる健康管理術には、以下の4つが挙げられます。
十分に睡眠をとる | 十分な睡眠をとることで、体と心の疲労に加え、仕事に必要な集中力を回復させることができます。 |
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活動に必要な栄養を摂る | 栄養バランスは、脳の疲れやすさにも影響を及ぼします。バランスのよい食事を続けると、不調に悩まされず仕事に向かうことができるでしょう。 |
適度に運動をする | 軽い運動はストレスを解消し、心の疲労回復にも役立ちます。 |
こまめにストレスを発散する | ストレスが積み重なるとさまざまな不調の原因となるため、こまめに発散することが大切です。 |
どんなに仕事が忙しくても、上記の4つの健康管理術を意識すれば、心身の健康を保ちつつ業務に取り組めるようになるでしょう。
「十分に睡眠をとる」ことが大切であるとはいえ、ゆっくり眠る時間を確保できない人もいるでしょう。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、成人の標準的な睡眠時間は6~8時間としています。しかし、必要な睡眠時間は性別や年齢によって大きく異なり、6~8時間が最適な睡眠時間だとする科学的な根拠はありません。厚生労働省の指針では、日中に困るほどの眠気を感じなければ問題ないとされています。
そのため、自分にとって最適な睡眠時間を知り、毎日の生活リズムを整えることが重要です。寝付きが悪く睡眠不足で悩んでいる人は、次の方法で対応してみてください。
<寝付きをよくする方法>
PCやスマートフォンからは、睡眠を妨げるブルーライトが出ています。就寝の30分前までには、PC・スマートフォンの使用を終了しましょう。また、カフェインは覚醒作用があるため、コーヒーや紅茶などは15時前までの摂取が理想です。夕食は胃に負担のかからないメニューを選び、寝る3時間前までに済ませましょう。
毎日の食事による健康管理も、仕事のパフォーマンスに直結します。健康な体づくりのためには、体に必要な栄養素をバランスよく摂ることが必要です。各栄養素には体の形成や機能を調節する役割があり、どれか一つだけを摂取すればよいわけではありません。
1日に必要な食事のカロリーは、2200±200calが基本とされています。年齢や性別、1日の活動量によって必要なエネルギー量は変化するため、それぞれの状況に応じて食事量を調整し、栄養バランスの整った食事をとりましょう。
カロリーの適量を目安に、主食・副菜・主菜の量を決め、さらに乳製品や果物も加えた食事が理想です。ここで、主食・副菜・主菜が一品で摂れる、おすすめの朝食メニューを紹介します。
<誰でも簡単に作れるトマトリゾット>
〇材料
〇作り方
1 | ベーコン・ブロッコリーを小さく切る |
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2 | お鍋にごはん・トマトジュースを入れる |
3 | コンソメ顆粒と塩コショウを加えて全体的によく混ぜる |
4 | 切ったベーコン・ブロッコリーを加える |
5 | 中火で温める |
時間のない朝でも簡単に作ることができるため、朝ごはんを食べてしっかりと栄養補給してから仕事に励みましょう。
適度な運動は、気分転換やストレス発散となります。しかし、仕事が忙しく運動不足で悩む人は少なくありません。日頃から運動をしていないと筋力が衰え、消費エネルギーが減少する恐れがあります。肥満にもつながりやすくなることから、運動不足は高血圧や糖尿病などの生活習慣病の原因になりかねません。
厚生労働省による「健康づくりのための身体活動基準2013(概要)」では、今より少しでも運動時間を増やすことが各世代共通の方向性として示されています。さらに、今より10分多く体を動かすことで健康寿命を延ばす「プラス10」という身体活動指針も定められています。朝の出勤前にランニングする、日中はオフィスから遠いトイレを利用するなど、仕事中でもこまめに体を動かすことが健康管理におけるポイントです。
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013(概要)」
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」
また、運動は主に「ストレッチ」「筋力トレーニング」「有酸素運動」の3つに分けられます。自分自身の体調に合う運動の強度を選び、週2回を目標にスタートしてみましょう。手軽にできる運動には、以下が挙げられます。
<手軽にできるおすすめの運動>
そのほかには、散歩や自転車・徒歩による通勤、テレビを見ながらのストレッチなども効果的です。運動は継続しなければ意味がありません。室内・屋外を問わず、仕事に支障の出ない範囲でできる運動を日常生活に取り入れましょう。
体だけでなく、心の健康を整えることも、社会人による健康管理の一環です。心の健康が不調であれば、仕事のパフォーマンスを向上させることはできません。
厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、約6割の従業員が「仕事に対して強いストレスを感じている」と回答しています。職場におけるストレスの原因は、「仕事の質・量」がもっとも多く、その次に「仕事の失敗、責任の発生」「対人関係」と続きます。
出典:職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~全体版」
職場で強いストレスが長期間続く状態は、うつ病などの精神疾患を引き起こしかねません。最悪のケースでは命を脅かす可能性もあることから、メンタルヘルスケアの重要性は無視できないでしょう。厚生労働省では、メンタルヘルスケアを4つのケアに分けています。
<4つのメンタルヘルスケア>
このうち、企業全体によるケアや、企業外の支援を活用するケアは、会社の規模により実現が難しい場合が少なくありません。ラインケアでは、所属する部署の管理監督者の対応が重要となります。そのため、社員自身で行うセルフケアを怠らないようにしましょう。
メンタルヘルスが健康であるのか確かめたいときは、うつの初期症状が出ていないか照らし合わせる方法があります。
<うつの初期症状>
体の症状 |
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心の症状 |
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うつの初期症状を感じたら家族や友人に相談したり、十分な休息をとったりすることで、心の健康を管理しましょう。
仕事の質を上げるためには、正しい健康管理を行うことが大切です。健康管理は仕事のパフォーマンスに直結し、意欲や集中力にも多大な影響を与えます。睡眠・食事をはじめ、運動やメンタルヘルスケアにより心の状態を整え、いつでも万全な状態で仕事に取り組めるようにしましょう。
不調の兆しを感じたら、まずは休息をとり、体調を回復させることに重点を置いてください。毎日できることから少しずつでも改善し、仕事の質を高めましょう。