不動産投資は、不動産の所有・売却以外に、不動産の運用による利益も見込める投資商品です。資産運用でお金を増やすだけでなく、アパート経営にも興味を持っており、不動産投資のやり方を知りたい人も多いのではないでしょうか。
不動産投資を始めるためには、事前準備や物件探しにしっかり時間をかける必要があります。しかし、大きく成功した場合は、運用益・売却益による高い収益性が見込める投資方法です。今回は不動産投資のやり方や始める前の準備から物件選び・管理・運用までの手順、メリットなどについて解説します。
目次
不動産投資とは、不動産物件を購入して運用し、収益を得る投資方法のことです。不動産投資は投資対象となる不動産物件の購入から始まり、購入した不動産物件を売却することで終わります。
不動産投資で得られる収益は、運用益(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)の2種類で構成されます。
運用益 | 運用益とは、不動産物件を貸し出すことで得られる家賃収入のことです。賃貸物件の入居者集めに成功すると、運用益による安定した利益を得られます。 |
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売却益 | 売却益とは、不動産物件を売却したときに出る利益のことです。売却益は物件の売却価格そのものではなく、売却価格から物件取得価額・譲渡費用・特別控除を差し引いた差額を指します。 |
売却益は、建物部分の耐用年数による減価償却費や地価変動で収益が大きく変わります。そのため、不動産投資では一度きりの利益である売却益よりも、継続的な利益を生む運用益に主眼を置くことが一般的です。
不動産投資初心者の人が実際に不動産投資を始めて成功するためには、不動産投資の流れを把握したうえで、事前準備や物件探しをしっかりと行うことが大切です。ここからは、不動産投資を始めてから物件購入・運用するまでのやり方・流れを、4つの手順に分けてわかりやすく紹介します。
不動産投資を始める際は、「自分が何のために」「どのような投資を行うのか」を明確化することが重要です。不動産投資を始める前に行うべき準備には、下記の2つが挙げられます。
●投資目標を設定する
不動産投資を行う前に、まずは投資目標を設定しましょう。投資目標は投資によって得られる成果のことであり、以下の3つが骨子となります。
「老後の安定した生活を見据えて10年後までに3,000万円を稼ぐ」「投資資金を増やすために2年後までに400万円を稼ぐ」などが、投資目標の一例です。
●投資スタイル・戦略を設定する
投資目標を設定できたら、目標を達成するための投資スタイル・戦略を具体的に設定します。少なくとも以下のポイントについては決めておきましょう。
物件購入から管理・運用までの投資スタイル・戦略を設定することで、実際に不動産投資の活動を行うときに迷いなく動けます。始める前の準備を行うとともに、不動産業界の動向についても情報収集することが大切です。
準備段階で設定した投資スタイル・戦略をベースに、不動産投資のために購入する物件を探します。物件探しは、以下の流れで行いましょう。
購入する物件が決定したら、不動産会社に物件の購入申し込みを行います。まずは買付証明書を提出して購入の意思を示し、以下の流れで購入手続きを進めましょう。
購入物件を賃貸経営し、入居者から家賃を回収することが、運用益を稼ぐ方法です。賃貸経営においては、物件の維持管理や入居者管理を行う必要があります。賃貸物件の管理方法は、大きく分けて3種類が存在します。
不動産投資をこれから始めたいと考えている方は、メリットやデメリットについてもしっかりと把握しておくようにしましょう。
不動産投資の大きなメリットとして挙げられるのは収入源が得られることです。
不動産物件を貸し出すことで得られる運用益(インカムゲイン)で毎月安定した収入が見込めます。また、一度限りの利益ではありますが、売却することで大きな収入も得ることができるでしょう。
所得税などの節税対策になることもメリットの一つです。
不動産投資は、初期費用として不動産購入時の不動産取得税や登記費用が発生するため、経費が収入より高くなってしまいますが、本業の給与所得と相殺することで節税になります。
不動産購入時にはローンを組むことになりますが、同時に団信とも言われる団体信用生命保険に加入することにもなります。
この団体信用生命保険は、名義人が死亡したり、大きな障害が残ったりした場合にローン残高が0円になります。ローン残高は無くなっても、不動産物件を家族に残すことができるのはメリットと言えます。
不動産投資はどうしても、不動産購入の初期費用や管理などのランニングコストがかかってしまいます。簡単には始められないと言われる要因は、これらのコスト面とも言えるでしょう。
不動産物件が空室になると収入が無くなってしまうのは大きなデメリットです。また、それが続いてしまうとローンの返済も間に合わなくなってきてしまうため、空室にならないように対策をすることが大切です。
不動産価格が下落することで、見込んでいた収入が十分に得られないというリスクも考えられます。管理をしっかりと行っていたり、立地が良かったりすると価格の下落が防げることもありますが、購入前には物件やその周辺情報について十分に調べておくことが大切です。
不動産投資の種類には、マンションやアパート、戸建てがあります。これらの種類ごとにどのようなメリットがあり、またどのようなデメリットがあるのかをしっかりとおさえておきましょう。
マンション投資には、一室単位で購入して分譲賃貸として運用益を得たり、売却による収益を得たりする区分マンションと、マンションを一棟購入して一部屋ごとに貸し出して運用益を得る一棟マンションの2種類に分かれます。
一棟マンションはアパート投資と似た特徴であるため後述しますが、まず区分マンションは初心者が比較的始めやすい不動産投資となっています。一棟丸ごと購入するよりも安価に始めることができ、管理も管理会社に任せることで手間はそれほどかからないのはメリットと言えます。
しかし、空室や家賃の滞納が発生すると収益が得られなかったり、マンション共有部の修繕費用がかかったりする点には注意が必要です。
また、自然災害のリスクも考えられますが、一棟ではなく別々のマンションに分散して複数の物件を持つことで、逆にリスクの分散が可能とも言えます。
アパート投資は、アパート一棟を購入して運用益を得る不動産投資で、一棟マンションと似た特徴があります。
複数の部屋を同時に賃貸として貸し出すので、まとまった運用益が得られるのが最大の特徴であり、マンション投資と同じで管理会社に管理を任せることで手間もあまりかからないでしょう。
デメリットとしては自然災害のリスク分散が難しいことや、マンション投資と同じで空室や家賃の滞納が発生する可能性があるということです。
また、ある程度不動産投資の知識がなければ部屋が埋まらないことも考えられるため、まとまった収益が得られるとは言え、リスクも大きい不動産投資と言えるでしょう。
不動産投資の多くはマンションやアパートを用いたものですが、戸建て投資はマンション投資などと同じように賃貸として運用する以外に、民泊・ゲストハウスでの運用も可能といった特徴があります。
中古の戸建てを購入して運用することが多いため、初期費用を抑えることができます。
空室の可能性があったり、物件の状態によってはリフォームが必要であったりといったデメリットがありますが、初期費用を抑えられることから初心者が始めやすい不動産投資と言えるでしょう。
利回りが高いとその分得られる収益も高くなりますが、単純な利回りだけで決めないようにしましょう。
不動産投資の物件を選ぶ際には、維持管理がしっかりされている物件を選んで入居の継続率を高めるようにしたり、また入居率の高い物件を選んで空室率をおさえたりすることが大切です。
不動産投資では、不正を促すような業者も少なくないため初心者は気をつけなければいけません。
自分はそんなつもりが無くても、業者が書類を偽装・加工することもあるため注意が必要です。また、不動産営業に言われたことをすべて鵜呑みにすることも危険です。
不安に思ったことや疑問に感じたことはなるべくそのままにせず、納得できるまで質問したり、自分で調べたりするようにしましょう。
不動産投資は物件を購入し、運用・売却によって収益を得る投資方法です。不動産投資の運用とは賃貸経営であり、家賃収入による運用益(インカムゲイン)を得られます。それに対して、不動産投資における売却益とは、物件売却時に得られる利益額(キャピタルゲイン)のことです。
不動産投資を始めるときは、まず投資目標と投資スタイル・戦略を設定しましょう。投資の計画を最初に立てることで、物件探しや購入の手続きをスムーズに進めることができます。不動産投資を成功させるためには、適切な物件の管理方法を選択することも大切です。
区分マンションや一棟マンションなどのマンション投資をはじめ、アパート投資や戸建て投資もありますが、それぞれの特徴をよく理解した上で、自分にあった不動産投資を見つけましょう。