マインドフルネスで生じるデメリットとは?リスクを回避するコツも

マインドフルネスは、不安や怒り、ストレスを取り除き、精神的な安定をもたらすことから、世界中で注目が集まっています。実際に、ビジネスの場面でも一流企業の社員育成プログラムで取り入れられています。しかし、マインドフルネスは方法を間違えると、かえってストレスをためてしまうなど、デメリットになりかねません。

この記事では、マインドフルネスで生じるデメリットと回避する方法について紹介します。マインドフルネスを正しく実践し、感情をコントロールしましょう。

1.マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、「今」に心を傾け、あるがままを受け入れる生き方のことです。適切な瞑想体験は、ストレス低減や緊張の緩和につながります。また、脳を活性化させ、集中力や作業効率の向上も期待できるため、勉強や仕事のパフォーマンスも変わるでしょう。マインドフルネスは多くの研究により、身体・脳への有用性が解明されています。

マインドフルネスの瞑想には主に5種類があります。

・呼吸瞑想

椅子に座って目を閉じ、呼吸に意識を傾ける瞑想です。呼吸で胸やお腹が膨らむ感覚や、鼻から入る空気を感じながら、「今」に集中します。

・歩行瞑想

歩きながら身体の感覚を味わう瞑想です。歩行中の手足の動きや、肌で感じる風や気温に集中します。

・食事瞑想

食事に集中し、食材そのものや食感を味わう瞑想です。食べ物を舌に乗せたときの感覚や味、香り、温度を楽しみます。

・ボディスキャン瞑想

仰向けになり、つま先から頭までの感覚を順番に味わいます。息をつま先まで届けるイメージで呼吸することで、リラクゼーション効果を得られます。

・慈悲の瞑想

身近な人々の幸せを願う瞑想です。家族や友人が「幸せでありますように」と願うことで、人間関係がスムーズになると言われています。

1-1.マインドフルネスと瞑想の違い

マインドフルネスと瞑想の大きな違いは「宗教色の有無」です。もともと仏教では呼吸に意識を傾ける瞑想を取り入れており、精神の安定に効果的だと言われていました。1960年代に精神医学で効果が立証され、欧米の分子生物学者ジョン・カバットジン氏により、宗教色のない瞑想法としてマインドフルネスが生み出されます。

また、マインドフルネスと瞑想のもう1つの違いは「マニュアル化」です。一般的な瞑想は、先生の指導を受けながら行います。一方、マインドフルネスはマニュアル化されているため、先生がいなくても一人で生活や行動の中に取り入れることができます。

2.マインドフルネスの実践で考えられるデメリット

マインドフルネスには、ストレス緩和などのメリットがありますが、いくつかのデメリットも考えられます。もちろん、マインドフルネスをしたからといって、必ずデメリットが生じるとは限りません。しかし、マインドフルネスを行う際は、メリット・デメリットを十分に理解した上で実践しましょう。ここからは、マインドフルネスを実践することで生じうる5つのデメリットについて説明します。

2-1.マインドフルネスに依存してしまう

マインドフルネスを信じるがゆえ、「マインドフルネスをしなければ集中できない」「やらなければ不安になる」といった「依存」が起きてしまうことがあります。

マインドフルネスは、うまくできるようになると、心が軽くなるという効果を得られます。しかし、「現実世界は不安や辛いことも多いから」とマインドフルネスの世界に逃げ込むようになってしまうと、自分自身で不安を乗り越えることができません。

マインドフルネスではあくまでも平穏な心を保つことが目的です。長時間の瞑想状態や効果の信じすぎは、自分自身にとって負担になることがあります。無理をせず、適度に取り組むことが大切です。

2-2.以前よりも不安な気持ちになりやすくなる

マインドフルネスの実践によって、自分の心の中の悩みや不安に対してより繊細になる場合があります。自分と向き合うことで、「これでよかったのだろうか」「間違っていたらどうしよう」と不安な感情が湧き出てしまう状態です。

また、マインドフルネスそのものに対しても不安な感情が出ることもあります。「マインドフルネスを正しくできているのか」「効果が出ているのか」といった不安が集中を妨げ、マインドフルネスを始める前より体調が悪くなるケースも少なくありません。

不安や恐怖心が湧いてしまった場合は、マインドフルネスを一度中断したり、ネガティブな感情を受け流したりすることが必要です。また、瞑想教室の瞑想指導者に習うことで改善できる可能性もあるでしょう。

2-3.自己肯定感が下がる可能性がある

自己肯定感の低下も、マインドフルネスのデメリットの1つとして挙げられます。マインドフルネスを「毎日継続しよう」と決めていても、なかなか実践できないこともあるでしょう。「自分で決めたこともできないなんて…」とひどく落ち込むと、自己肯定感を下げてしまう原因になりかねません。

マインドフルネスは気が向いたときだけ取り組むなど、義務にしないことが大切です。あまりにもネガティブな感情が強いときには、マインドフルネスを中断することも考えましょう。

2-4.集中できずマインドフルネス自体がストレスになる

マインドフルネスに集中できないことが、ストレスに感じてしまうこともあります。マインドフルネスはリラックスすることが目的ですが、やり方を覚えても、すべての人がすぐに集中できるわけではありません。

最初から雑念を取り払うのは難しいため、少しずつ慣らすことが大切です。また、強いストレスに感じるときは思い切って中断し、別の日にマインドフルネスに挑戦してみましょう。

2-5.精神バランスが崩れる

マインドフルネスを過度に行うと精神バランスが崩れ、「禅病」や「魔境」になることがあります。「禅病」とは、僧侶が瞑想に没頭し、運動不足によって自律神経失調症になったことが由来とされる疾病です。「魔境」は、禅の修行中に感覚が研ぎ澄まされることで精神が錯乱状態に入る状態を指します。禅病や魔境の主な症状は、被害妄想・幻覚・幻聴・冷え・のぼせ・耳鳴り・頭痛や胸の痛みなどです。

禅病や魔境は、身体が緊張した状態からリラックス状態に切り替わる際に発症しやすいと言われています。そのため、マインドフルネスに慣れるまでは短時間で行いましょう。また、10分間ジョギングをするなど、短時間の有酸素運動を取り入れることもおすすめです。

3.マインドフルネスのデメリットを回避する方法

マインドフルネスの正しいやり方やコツを把握することで、デメリットを回避できます。マインドフルネスを行う上での注意点は、以下の3つです。

・呼吸に集中した上で自分の意識に向かう

マインドフルネスを適切に行うためには、自分自身の「呼吸」に集中し、自分に意識を向けることが大切です。目を閉じると心配事などさまざまなことを考えてしまいがちですが、毎回の呼吸に意識を傾け、自分を客観視するイメージで取り組みましょう。「集中しなければならない」という義務感ではなく、「呼吸とともに自分と向き合う」という意識で行うと、リラックス効果にもつながります。

・短時間のマインドフルネスを継続する

マインドフルネスに始めから長時間取り組む必要はありません。最初から完璧にこなそうとせず、1日5分など、負担にならない範囲で少しずつ継続することが大切です。慣れてきたら1日15分、1日30分と時間を伸ばしてみましょう。また、マインドフルネスを始めたからといって、すぐに変化するわけではありません。短時間でも数か月継続することで、「集中力が上がった」「頭が冴えるようになった」などの身体の変化を実感し、ポジティブ思考になるでしょう。

・温度や湿度、明るさなどの環境を整える

マインドフルネスは明るい場所で行うようにしましょう。暗いほうが落ち着くという人もいますが、暗い場所では副交感神経の働きが強くなり、眠気が出てしまうことがあります。部屋を明るくし、エアコンで温度や湿度を調整し、快適な環境を整えましょう。

上記の注意点を守った上で、マインドフルネスを効果的に実践しましょう。

まとめ

マインドフルネスは、ストレスを取り除き、心身ともに健康でいるために効果的な手法です。しかし、マインドフルネスの効果に期待しすぎると、うまくできなかった際にデメリットが生じる可能性があります。

マインドフルネスを実践する際は、メリットだけでなくデメリットも念頭に置き、マインドフルネスのコツを掴むことが大切です。最初から完璧を目指すのではなく、短時間でスタートし、コツコツと気楽かつ気長に取り組みましょう。

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